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夫婦別姓

――夫婦同姓を法律で義務付けている国は世界で日本のみ――

 

国連はたびたび日本の夫婦同姓義務付制度を差別的と、その改正を勧告してきているものの、、、

 

201812月に国連女性差別撤廃委員会は日本に対し女性政策に関する見解文書出したにもかかわらず、外務省はそれを2年以上放置し、所管する内閣府男女共同参画局に報告していなかったことが2021323日に発覚しました。その文書は夫婦別姓の導入など結婚後も旧姓を使い続けられるような法改正を勧告していたものです。

 

国連女性差別撤廃委員会は、2003年と2009に民法の夫婦同姓規定は差別的と批判し、選択的夫婦別姓制度の導入を勧告しています。しかし、日本政府は同委員会に対し「法改正は国民の理解を得て行う必要がある」と2014年に弁明するのみ、、、

 

結局何の努力もせず、翌年2015年最高裁では夫婦同姓を「合憲」とする判決を出しています。同委員会は2016年、女性が婚姻前の姓を保持できるよう法改正をするよう再勧告しているのですが、、、いまだ日本の国会では選択的夫婦別姓の法案さえ提出されていません。案を出しても現与党(自民党と公明党)から門前払いをされてしまうのです。

 

そしてそのような中、

 

2021623日、最高裁大法廷は “夫婦別姓を認めない民法の規定は憲法に反しない”とする2015年以来となる2度目の憲法判断を出しました。

 

社会情勢や国民の意識の変化等を受けて、2015年最高裁判決の判断が変更されるのではないかと注目を受けていたのですが、前回同様、民法第750条に憲法違反はないとし、再び「合憲」であるとの判断でした。

 

経緯としては、申立人らは東京都世田谷区、国分寺市、八王子市在住の3組の事実婚の夫婦で、それぞれの夫婦が婚姻届を提出時に、婚姻届の「婚姻後の夫婦の氏」欄に「夫の氏」「妻の氏」両方のレ点を入れて届け出たところ、いずれも不受理扱いとされたため、戸籍法第122条(改正前戸籍法第121条)に基づき、家裁に夫婦別姓での婚姻届を受理するよう求める審判を申立てしたものです(2018年)。

別姓を認めない民法と戸籍法の規定は、男女平等などを定めた憲法に違反すると主張しましたが、家裁は訴えを退け、東京高裁も即時抗告を棄却したため、最高裁に特別抗告しました。

 

条文

戸籍法第122

戸籍事件(第百二十四条に規定する請求に係るものを除く。)について、市町村長の処分を不当とする者は、家庭裁判所に不服の申立てをすることができる。

 

★特別抗告とは?

特別上告とほぼ同じ趣旨で設けられたもので、憲法上、最高裁判所が最終的な判断権限を有していることから、最高裁判所に特別に憲法判断(憲法の解釈に関する問題)を求めることが認められるものです。本来最高裁判所に対して抗告をすることができない場合に、憲法判断を求める道を開くために設けられたものです。

 

民事訴訟法336

地方裁判所及び簡易裁判所の決定及び命令で不服を申し立てることができないもの並びに高等裁判所の決定及び命令に対しては、その裁判に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。

 

★「選択的夫婦別姓制度(選択的夫婦別氏制度)とは?

夫婦が望む場合には、婚姻後も夫婦がそれぞれ婚姻前の姓(氏)を称することを認める制度です。

 

日本では、夫婦のいずれかが婚姻時に必ず姓を改めなければならないと定められています(夫婦同姓制度 民法第750条、民法第739条第1項、戸籍法第74条)。姓を変えた方は生活のあらゆるところで変更の手続きのために戸籍を提出しなくてはならず、不便・非効率であるのみならず、これまで旧姓で仕事をしてきた人が新姓に変わることで未知の人には継続性が認識されず、不都合を受けます。法律上は姓を変えても社会生活の中で旧姓使用を認めればいいという人はいますが、公的な場では通用しません。また、国際社会の中、グローバルな場で活躍する人にとっては、仕事の場での同一性が認識されず、不利な取扱いを受けます。海外ではパスポート上の姓で判断されるのです。また、この規定自体が男女の差別的取扱いを定めているわけではないのですが、実際上、女性側が姓を改める例が多く、間接的に男女の差別的取扱いを定めているともいえます。

 

民法第750条、民法第739条第1項、戸籍法第74条が、憲法第13条や、同法14条第1項、同法第24条に反するのではないかという形で争われました。

 

条文 

民法第750条(夫婦の氏)

 

夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

 

民法第739条(婚姻の届出)

 

1 婚姻は、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。

 

戸籍法第74

 

婚姻をしようとする者は、左の事項を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。

 

一 夫婦が称する氏

 

二 その他法務省令で定める事項

 

日本国憲法第13

 

すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 

日本国憲法第14

 

1 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

 

日本国憲法第24

 

1 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

 

2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

 

都内の3組の事実婚の夫婦は、2018年に夫婦別姓での婚姻届を受理するよう求める審判を申し立て、別姓を認めない民法と戸籍法の規定は、男女の平等などを定めた憲法に違反すると主張しましたが、いずれも家庭裁判所と高等裁判所では退けられました。

 

しかし、23日の決定で、大谷直人裁判長は「6年前の判決後の社会の変化や国民の意識の変化といった事情を踏まえても、憲法に違反しないという判断を変更すべきとは認められない」とし、夫婦別姓を認めず夫婦は同じ名字にするという民法の規定は、憲法に違反しないとしました。

 

また「どのような制度を採るのが妥当かという問題と、憲法違反かどうかを裁判で審査する問題とは次元が異なる。制度の在り方は国会で議論され、判断されるべきだ」としました。

 

そのうえで、3組の夫婦が求めていた別姓での婚姻届の受理も認めませんでした。

 

 

日本以外の国では夫婦別姓が認められるのに、日本ではなぜ???  続く、、、